ヤオハングループ元代表だった和田一夫氏。小さなスーパーから店舗数を伸ばし、海外に大きな拠点を構えたヤオハン。 しかしバブル崩壊とともに97年に経営破綻。その時に和田氏は私財十億円を会社に提供し無一文となる。比較されるのはそごうの水島広雄氏だ。 水島氏は「そごう」の破綻で、自らの財産を現金化し親族宅などに預けたそうだ。取引業者や出店業者のなかには「そごう」破綻で自殺者まで出ている中で。
引き際、難事においての身の処し方によって人間の器が試される。 二人の経営者を比較するとそのことがよく判る。
さて、和田氏である。ヤオハンが倒産し無一文となった彼は、半年間、親戚の家に間借りして謹慎生活を送ったそうだ。やがて自らの失敗を多くの経営者に伝えたいとの思いから都内で経営塾をスタート。そこで語られた内容は、「感謝の心を忘れてはいけない」「成功すればかならず天狗になる。その慢心をおさえなければならない」という失敗から彼が何を学んだかを塾では伝え、塾生は熱心に耳を傾けた。
和田氏がコロナ禍の我々にどのようなメッセージを送ってくれるだろうか?そんなことをふと考えてみた。
実るほど頭を垂れる稲穂かな